葛飾区と埼玉県三郷市の境に位置し、東京23区内最大の面積を誇る水元公園。豊かな水をたたえて空を映す大きな溜池がシンボルの水郷地帯です。生きた化石といわれるメタセコイアの森、1キロ以上にわたって続くポプラの並木道、見渡す限りの芝生広場など、来園者が「まるでヨーロッパみたい」という絵画のような風景が魅力。
<水元公園のpoint>
・“生きた化石”といわれるメタセコイヤ、1800本から成る森は圧巻
・水生植物園の散策は秋がおすすめ。水面に映る色づいた木々が美しい
・遊び方は自由!圧倒的な開放感がある中央広場
・ペットと散歩も楽しい、フリーのドッグランには小型犬専用エリアも
最寄り駅は、JR常磐線・東京メトロ千代田線「金町」駅。京成バスで10分ほどの停留所「水元公園」で下車します。多くの釣り人たちが糸を垂らしている内溜の脇を歩くこと7分、メインゲートの噴水広場口に到着します。
うねる溜池に沿って南北に広がる公園は、大まかに北側のAブロックと南側のBブロックに分けられます。花菖蒲園や睡蓮池があるBブロックは、春夏には水と緑が一面に広がり、花の時季には多くの人で賑わいます。対するAブロックには、森や広場、バーベキュー場や水生植物園やなど、季節に関わらず人が訪れる定番スポットが集中。今回は、Aブロックを中心にご紹介します。
大橋に背を向けて溜池に沿って北へ向かうと、次第にメタセコイアの森が近づいてきます。水辺の遊歩道を歩くのが、この公園の最もオーソドックスな楽しみ方。蛇行する川のような形の小合溜(こあいだめ)ですが、溜池なので流れはなく、静かで穏やか。時折、風や鳥たちが作るさざ波や波紋が表情を与えています。
左手はベンチが点在する木立。心が安らぐ風景です。
向こう岸に見えるのは、埼玉県のみさと公園。公園の端まで行かないと渡れませんが、景観は自由に楽しめます。アスレチックなど人気の遊具が水辺にあるため、鈴を転がしたような子どもたちの楽しげな笑い声が風にのって聞こえることも。
水辺ゾーンは、アシやガマが生える湿地帯。カエルやザリガニといった水辺の生き物から、トンボやバッタなどの昆虫までたくさんいて、春から秋まで、あちこちで虫取り網を持った子やザリガニ釣りを楽しむ親子の姿を見かけます。えさが豊富なことから水鳥も多く、運が良ければ木道からその美しい姿を間近に観察できることもあります。
メタセコイアの森を抜け、まだまだ続く樹林帯を進んでいくと、野性的な声が聞こえてきます。現れたのは、野鳥観察舎。野太い声、甲高い声。普段はなかなか耳にしない野鳥の声は、案外ワイルドです。
いつ来ても多彩な水鳥が見られるため、多くの野鳥愛好家たちが集まります。記者がのぞいていると、横のおじさんが、「手前の止まり木に止まっているのがカワセミだよ」と教えてくれました。
秋の水生植物園は、色づいた水辺の木々が見どころ。
木立を抜けると、いきなり視界が開け広い場所に出ます。高層ビルなども見えず、東京と思えない広大な空が見渡せます。中央広場は、とにかく広くて圧倒的な開放感があるのが特長です。見渡す限り、空と森と芝生が広がります。駆けまわったり、ボール遊びをしたり、好きなように遊べる最高の場所です。
中央広場の西側、バードサンクチュアリや水生植物園の反対側にあるのは、水路が通ったせせらぎ広場。青々とした芝生が本当に美しい! 水路の向こう側にはバーベキュー広場があり、夏は水遊びをする子どもたちで賑わう場所。浅瀬なので、小さい子も遊べます。
水辺ゾーンからメタセコイアの森の横を通り、せせらぎ広場につながっている水路。春はチョウが飛びまわる、のどかな場所です。
水路を渡ったせせらぎ広場の西側には、木陰やベンチがたくさん。水路越しに広場を一望できる、眺めのいい場所でもあります。
広くてチリ一つ落ちていない園路。自転車で来ても気持ちよく園内をまわれます。
冒険広場には遊具も。冒険広場は丘になっていて、上からは向かいのドッグランがよく見えます。
ドッグランは、小型・中型・大型犬すべてが入れるフリーエリアと小型犬専用エリアがあります。ここも冒険広場同様、起伏があるのが特徴です。
寅さんで知られる下町の葛飾区にありながら、ポプラ並木などヨーロッパを思わせる洗練された景観と広大な面積を誇る公園。その絵画のような美しさと、解放感あふれる空間に、あなたもきっと虜になるはずです。水生植物が多彩で、毎年6月頃に多くの観光客を集める花菖蒲も見どころの一つ。さらには、都の天然記念物であるオニバスや絶滅危惧種のアサザの自生地としても知られています。