【浅草】江戸の街並みの風情があちこちに。浅草・伝法院通りを歩く

2015/05/11 10:03

伝法院通りってどんなところ?

浅草寺の本坊・伝法院(でんぼういん)に面した、東西約200mに伸びる通り。大正時代にはすでに店が建ち並び、商店街の体をなしていたと言われていますが、現在も呉服屋や伝統工芸の店、飲食店などが立ち並んでいます。


近年ではさまざまな名所・見どころが点在し、江戸の風情を感じられる「町歩きが楽しめる通り」として注目を集めています。

街中をぶらり

伝法院通りは、南北に横切る仲見世通りを境に、西側と東側に分かれます。浅草六区通りとの境から、東に向かって進んでいきましょう。

伝法院通りの入口に、ちょっと気になる「おいもやさん」ののれんを発見!
おいもやさん興伸 浅草伝法院通り店


「おいもやさん興伸」は、創業明治9年、100年以上の歴史を持つさつまいも問屋が営む、さつまいも菓子の専門店です。信頼できる契約農家から取り寄せたさつまいもを使った、昔ながらの定番人気は大学いも。

さつまいも本来のおいしさが味わえるように大きめにカットされ、作り置きをせずにお店で揚げています。口にすると家伝の蜜の甘みとさつまいものさっくり、ほっこりとした味わいが絶妙です。最近注目を集めているのはスイートポテト。暑い時期には紫芋のソフトクリームも人気です。

西側には江戸の街を思わせる、粋な雰囲気の店が並びます。シャッターに描かれた絵も浮世絵風です。

鼠小僧、発見!


浅草公会堂の向かい、呉服屋さんの屋根の上。ふと見上げると千両箱を抱えた黒装束の盗賊!かつて江戸市中を騒がせた鼠小僧です。しかしこの鼠小僧、よく見ると誰かに似ていませんか?

…そう、惜しまれつつこの世を去った歌舞伎の名優・中村勘三郎さんです。
こんな粋な立て札も近くに立てられていました。死してなお、浅草の町を見守ってくれているのですね。ちなみに、鼠小僧の下に貼られた絵も中村座ゆかりのもの。浅草で天保三年に初演された歌舞伎の演目「弥生の花浅草祭(三社祭・善玉悪玉)」の木版絵だそうです。

また、お店の看板は、そのお店の商品をかたどっています。江戸時代に商家で流行したスタイルだそうですよ。


そしてよく見ると、火の見やぐらと半鐘がつけられたお店もあちこちに。

伝法院


客殿は江戸時代・安永年間の建築で、小堀遠州によって造られた庭園がありますが、現在は非公開とされています。

街路灯
ことわざなどをもじった洒落が書かれた街路灯。地口行灯(じぐちあんどん)といいます。江戸時代、お祭りのときに飾られたものだそうです。伝法院通りでは、地口行灯が街路灯になっています。


伝法院の門を過ぎ、さらに進むと、仲見世通りの交差点近くにガラス工芸品が店頭に並べられたお店が。三代続く江戸切子の店、浅草おじまです。
江戸切子 浅草おじま


東京を代表する伝統工芸・江戸切子は、江戸時代後期から伝わるガラス工芸。透明のガラスと色のついたガラスの二重構造になった器を彫ることできれいな色と柄が表現されています。

伝統的な模様をバランスよく組み合わせるのが職人の技。商品の大半は、葛飾区青戸の自社工房で、職人の丁寧な手作業によって作られたものです。深い青や赤のグラスや杯が定番人器商品。お店の方の説明を受けながら、ゆっくり品物を選びたいものです。

次に、仲見世通りの交差点を過ぎ、すぐに現れる「手ぬぐい」ののぼり。
かわいらしいハンカチや手ぬぐいにつられてお店の中へ。
浅草くるり



浅草くるりは手ぬぐいと風呂敷の専門店。店内にはずらりと手ぬぐいや風呂敷、和雑貨が並べられています。伝統的な和の文様から、モダンな図案まで、さらに季節を彩る手ぬぐいや風呂敷もあり、手ぬぐいだけでも常時300種類以上を揃えています。また、江戸時代から使い継がれてきた型染めの「江戸手ぬぐい」もおすすめ。江戸本染という昔ながらの技法で手間をかけて染められた手ぬぐいは、使うほどに味わいが出てくる逸品です。

5人見つけられますか?

伝法院通り東側の見どころが「白波五人男の像」。白波五人男とは、幕末から明治時代にかけて活躍した歌舞伎作家・河竹黙阿弥の代表的作品のひとつです。河竹黙阿弥は伝法院通りの一角に住み、執筆活動を行っていたのだそうです。白波五人男の5人の登場人物(盗賊)が、通りのあちこちにいます。
屋根の上に座っていたり、



壁を登ろうとしていたり、

通りに立っていたり。


せっかくなので5人全員見つけてみましょう。
西から東へ歩いていくと、最後の1人がなかなか見つけられないかもしれません。見つけるポイントは「全部くまなく歩くこと」ですよ。

浅草寺に続く仲見世通りを渡り、東通りを進んでいくと、通りの間からスカイツリーが姿を見せます。思ったより大きく見えてびっくり。

東側には江戸を感じさせつつモダンな店構えのお店が多いなか、駐車場の看板に思わずクスッと笑ってしまいました。


自動販売機もレトロ。

まとめ

江戸の町並みや当時の人々の賑わいを感じられる、遊び心にあふれた伝法院通り。和服姿で観光を楽しんでいる人や、外国人観光客も多く見かけました。今回発見した名所以外にも、隠れている名所がまだまだありそう。歩くことでさまざまな発見があり、親しみを感じられる、もっと知りたくなる町でした。

この記事のプレース
伝法院通り
東京都台東区浅草1-37-8
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この記事を書いたライター
山と旅をテーマに取材・執筆活動をするフリーライター。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本社)など。東京都在住。