公園散策20年のマイスター直伝!東京公園ガイド - vol.14-

【東京】駅近なのに自然豊か!森とスポーツの光が丘公園

2015/12/01 09:20

敷地内に区立図書館や体育館がある、区民の生活に根差した公園。3分の2は森林エリアで、6ヘクタールにも及ぶ芝生広場にも木々が点在します。大部分が「自然保全ゾーン」「自然観察ゾーン」として保護され、さまざまな野鳥や昆虫が観察できる場所。野球場や弓道場などスポーツ施設も充実しています。

<光が丘公園のPoint>
・ゆるやかな丘になった芝生広場は居心地最高。景色の変化を楽しんで
・休日のみ開園するバードサンクチュアリ。専門スタッフ常駐で初心者も安心
・無料で壁打ちテニスやバスケットボールのシュート練習ができる
・売店は園内に1つ。軽食や飲み物は来園前に準備

躍動感あふれるスポーツエリアを歩く

地下鉄大江戸線終点の「光が丘」駅から歩いて8分。2階のペデストリアンデッキで直結しているのでアクセスは便利です。


ペデストリアンデッキ「ふれあいの径」も公園の敷地。樹齢100年を超えるイチョウ並木が来園者を歓迎します。


デッキの端で道が分岐。1階からの階段と合流します。


入り口のけやき広場の向こうにあるのは鑑賞池。カワウやカワセミ、アオサギなどの姿が見られます。隣にはバードサンクチュアリがあり、土日祝日は観察舎から野鳥観察が楽しめます。運が良ければオオタカやノスリが見られることも!
タヌキも棲んでいて、ときどき笹ヤブから姿を現すそう。自然観察に詳しい専門スタッフが常駐していて、観察のポイントなどいろいろ教えてもらえます。

ここから反時計回りに歩きながらご案内しましょう。目指すは、400mトラックのある本格的な陸上競技場です。運動施設が集まったエリアで、途中、テニスコートと野球場の横を通ります。それぞれのスポーツに打ち込む人々の楽しげな様子、あるいは真剣に打ち込む姿、ボールの音やかけ声など、躍動感を肌で感じられるのが魅力です。

テニスコートの横は花壇になっていて、コート8面分を飽きずに歩けます。ボランティアの方が世話をしているのですが、いつ来てもボタンやコスモスなど季節の花が咲いていてキレイ。角を曲がれば競技場が見えてきます。森に囲まれた競技場は、走っていても気持ちが良さそう! 冬場など、白い息を吐きながら黙々とランニングをする人の姿に静かに刺激を受けることも。


秋は紅葉が見事です。日当たりがいい場所だと、イチョウの黄金色が映えますね。

森の中には楽しい遊具がいっぱい!ちびっこ広場*

陸上競技場とちびっこ広場の間にあるのが、無料の壁打ちテニス場。連日多くの人が利用しています。壁打ちができる場所は珍しいので、人気があるのはもっともですね。ご近所の方がうらやましい!


森の中のちびっこ広場には凝った作りの遊具がたくさん。子どもたちが大好きな場所です。


カラフルで小さな子が喜ぶものも。


遊具で遊びながら、豊かな自然の息吹きを感じられるのが魅力です。


ちびっこ広場の付近にはバスケットボールのゴールリングが点在し、たいてい少年たちが利用しています。こちらも使用は自由。本当に設備が充実しています。

ヤマシギやカントウタンポポが見られる、自然豊かな憩いの森

園内にはカントウタンポポの自生地があり、柵で囲われて保護されています。普段私たちが見かけるタンポポのほとんどはセイヨウタンポポ。日本に昔からあった在来種は減っています。カントウタンポポは、その貴重な在来種。
この自生地では、3~5月にたくさんのカントウタンポポが花をつけ、春らしさを感じさせてくれます。ここからまた全国に広がっていくといいですね!


公園の北から西にかけては、豊かな森が広がっています。この辺りは、ジョギングする人や自転車が通るくらいで、とても静か。ヒマラヤスギ、クスノキ、トチノキなど、さまざまな樹木の美しさが印象的です。


アスファルト部分に落ちた枯れ葉は集められて捨てられてしまいますが、土の部分に降り積もった落ち葉はそのままにしてあります。


バーベキュー広場にはテーブルとイスが10組ほどあり、木漏れ日を楽しみながら休憩できます。ピラミッドのような、ちょっと変わった形の東屋も楽しい。また、ここの地面の下にはちょっとした秘密が。大雨が降ったときに付近の川が氾濫しないよう一時的に雨水を蓄える施設があり、「見えない貯水池」として近隣の人々を守っているのです。多くの公園は災害時の避難所に指定されていますが、こういった役割も担っているのですね。

木陰でひと休みが気持ち良い、ゆるやかな芝生の丘

ゆりの木広場から芝生広場へ。ここの芝生広場は2つの点でユニークです。広場はたいていは平らな場所ですが、ここは斜面。普通は何もなくだだっ広いものですが、ここには木々が生えています。そのため景色に変化があり、どこにでも木陰があって、歩くにも休むにも心地よい空間になっています。


ひときわ目を引くのは、広場の端の方、平らな所にある巨大なイチョウの木。完全に色づく前のまだら模様もキレイです。高さもありますが、何より枝の広がりが素晴らしく、幅10メートルはあろうかという横の大きさが特徴です。


ゆるやかな斜面の上にも、寝転がる人の姿が。体を横にしたとき、ちょっと斜めになったくらいの場所の方が楽なのですよね。


広場というよりも”大きな庭”といった雰囲気。この芝生の丘は、光が丘公園ならではの景観です。

花より団子?売店の焼きたてパンも来園の楽しみの一つ

ぐるりとまわって戻ってきたケヤキ広場には、園内唯一の売店があります。パン屋が入っていて人気を集めています。定番はメロンパンとカレーパン。どちらもおいしいですが、メロンパンはとても甘いので甘党さんにおすすめです。

パンくず目当てに来ているうちに警戒心が薄れたのか、売店前のテーブルに寄ってくるスズメたちは大胆不敵。テーブルの下でパンくずが落ちてくるのを待っているだけでなく、ときどきテーブルの上に飛び乗ってくることも。可愛いパン泥棒にご用心!

樹木や野の花に囲まれ、野鳥や昆虫などの自然に親しめる

緑の多い練馬区らしく、森林面積の広い公園です。よく整備されていますが、売店は1つだけ。軽食や飲み物は、事前に用意してから散策しましょう。敷地の西側には、夏には虫取り網を持った子どもたちが大勢集まる昆虫原っぱもあり、自然に親しむのにぴったりの場所です。

この記事のプレース
光が丘公園
東京都練馬区光が丘4-1-1
詳しい場所を確認する
この記事を書いたライター
フリーライター。1976年生まれ。広告制作会社、新聞社等の勤務を経て独立。飲食店取材や街頭インタビューで都内を駆けまわる一方、休日は愛用の一眼レフを手に山や植物公園に出没。公園巡りを始めて20年余。季節ごとの魅力や楽しみ方を知り尽くした「公園マスター」。東京都内の公園はすべて網羅し、公園ごとのオリジナル料理や飲み物、巨木は必ずチェックしている。旅と自然を愛し、ヨーロッパ諸国の他、アラスカやボルネオへの渡航経験がある。主な執筆ジャンルは食、自然、健康など。
<連載> 公園散策20年の公園マイスター直伝!東京公園ガイド