【新宿】「盛花」を生み出した小原流、花を通して日常を楽しく変えるいけばな教室

2015/11/19 21:02

いけばなの三大流派のひとつ、小原流専用の稽古場である「いけばな小原流新宿南口教室」。1895年の創流以来、“盛花”という手法を中心に、時代の変化に伴ったいけばなを生み出してきた。同教室を代表し、土曜日担当の講師・倉田さんにお話を伺った。

「盛花」をお家芸に、いけばな三大流派に数えられる小原流

−小原流というのは、どのような流派なのでしょうか?

小原流は、彫塑家の小原雲心が1895年(明治28年)に創流した流派です。流派は数あるものですが、中でも池坊、草月流、小原流の規模が大きく、三大流派のひとつに数えられます。創流してから約1世紀、盛花を基本にその時代の生活様式の変化に伴って、現代空間にふさわしいいけばなを生みだしてきたのが小原流です。

−小原流はどのような特徴があるのですか?
小原流は「盛花」を生みだし、お家芸としております。「盛花」は、口の広い器(水盤)に材料を「盛る」ように花を展開させる手法で、それまでのいわば線の動きを主に構成したいけばなに比べ、面的な広がりを強調するという特徴があります。今ではおなじみとなった水盤と剣山を使ういけばなは、小原流が始めたものです。

面を意識した「盛花」は、小原流の技法

−小原流ではどのようなことが学べるのか、初心者は何から始めるのかなど簡単に教えてください。
小原流いけばなには、たくさんの表現方法があります。それを段階的にきちんと身につけていただくためにカリキュラムをもうけて全国どこでも同じ水準の技術を習得できるようにしています。初心者は、まず初等科から始め、「たてるかたち」と「かたむけるかたち」と呼ばれる基本を身につけます。その後、花の組み合わせやバランスの取り方などを学んでいきます。

花の組み合わせやバランスの取り方を学ぶ

自分のペースで続けられるカリキュラムを通じ、楽しさや癒しを感じて

−こちらの教室でご指導されているカリキュラムについて教えてください
小原流は、全国共通のカリキュラムにて指導を行っております。引越などで教室が代わっても、今までの続きからお稽古して頂けます。月2回の月謝制と、都度お稽古日を決めていくフリーコースをご用意しています。ご自分のペースで続けて頂けるよう、個別指導ですのでご安心ください。生徒さんは、全く初めての方から昔習っていて再開される方まで様々です。「いけばな」をきっかけに毎日の生活がいつもより楽しくなるように、じっくり技術を身につけたい方への指導が充実しています。

稽古風景

−専用の稽古場を設けられたのは、どのような経緯だったのでしょうか

ずっと貸し会場で活動をしてきたのですが、貸し会場ですと上級者のお稽古で使う器や花の調達に苦労しておりました。どんなお稽古でも対応できる教室を求めて、この新宿教室が開設されました。この稽古場には、どんな器でも揃っていますし、いけばな花材専門の花屋さんも近くにあります。上級の生徒さんが同時に複数いらしても、お花屋さんには普段置いていない花でお稽古したい時でも、対応できるようになりました。小原流いけばなには、たくさんの表現方法があります。それを段階的にきちんと身につけて頂けるカリキュラムと環境を整えております。

−専用の稽古場ならではお稽古もあるのでしょうか?

大型の花器も揃えておりますので、上級者の人でもなかなか機会を得られないお稽古もして頂けます。大きな花器で大作を作ったり、お花屋さんでは普段見かけない「いけばな」ならではの花を使いお稽古を体験して欲しいです。一般的な花屋さんでは見かけない花を使ったお稽古をした時は、生徒さんからも「今日は特別な花でお稽古をした」と喜びの声が聞かれます。

珍しいお花を扱えるのは、教室ならでは。

−いけばなを通して、どのようなことを感じて頂きたいとお考えですか?

花をいけていると、いつの間にか夢中になってることがあります。何かイライラすることを抱えてたはずなのに、いけ終わったらすっかり忘れていたり、お稽古を続けていくとお花に“癒された”と感じる瞬間が増えていくと思います。いけばなを通じ、楽しさや思いがけない幸せを感じて頂けたら嬉しいです。

何歳からでも、何年でも続けられるのが“いけばな”の魅力

−「思いがけない幸せ」とはなんでしょうか?

まず、花には癒し効果があると思います。植物の香りには、疲労感の軽減、作業能率の向上、ストレスの緩和といった効果が認められるという実験結果が出ているそうです。色彩も、人の感情を動かす力や生理作用に影響を与える力がありますよね。例えば、赤色には興奮作用があるといいます。この効果を利用して、目覚めの悪い人の枕元に赤い花を飾り、起きてすぐ目にするようにするようにしておくと格段に目覚めがよくなるそうです。

−香りや色彩など、感覚を使って享受できるのですね

そういった花本来の魅力に加えて、いけばなでは音の魅力も感じられると思います。枝を切る鋏の音を「心地よい」と感じる方は多いのではないでしょうか。また、以前ある番組で、花をいけている時の脳波を測ったらアルファ波が出ている、といったことが放送されていました。花をいけている時は熱中しているので、いけ終わった後は気分がすっきりする効果も生まれます。スポーツやゲームをした時と同じような感覚です。いけばなは、そのような花本来の持つ力を最大限に引き出します。

−いけばなは年齢に関係なく、長く続けることのできるお稽古事ですね

そうですね、何歳からでも始められるし、何年も続けられるものだと思います。誰かと競い合うものではないので、自分の生活・考えで学び方を決め、続けていけるものだと思います。当教室では、お稽古が終わった後に感想を書いて貰っているのですが、その中で20数年空けてお稽古を再開された方がいらっしゃいました。再び花と向き合い、楽しさと幸せを改めて感じているとおっしゃっていました。

年齢に関係なく、続けられる稽古事だ

−倉田さまの考える、“いけばなの魅力”をお聞かせください

何年も続けていくと、お稽古を通して自分の癖がわかってきます。その癖は、いけばなだけのことではなく、その人の日常生活で不自由を感じる原因と通じていたりするんです。だからこそ、いけばなで指摘されたことが気持ちを助け、日常を楽しく変えるヒントにもなると思います。お稽古仲間とのおしゃべりにも、気づかされたり、励まされたりします。仕事や日常生活の仲間とはまた違う人達との交流機会が持てるのは大きな魅力であり、貴重なことなのではないでしょうか。

いけばな小原流新宿南口教室
土曜担当:倉田HPはこちら

この記事のプレース