新宿西口の高層ビル群から少し離れたアート空間、東京オペラシティの中にあるインテリア雑貨店「プラス オペラ」。ヨーロッパ直輸入の“ゴブラン織り”を中心とした多彩なファブリックやインテリアを取り揃えている。「生活空間を楽しんで頂くヒントを感じて頂けたら」という同店代表の蓮井幹子さんにお話を伺った。
−お店のコンセプトについて教えてください
ファッション・食・アートなど、生活全般に感度が高い方にもご満足頂けるよう、バリエーションを豊富に取り揃え、エレガントなヨーロピアン・ライフスタイルをご提案します。ただし、ヨーロッパそのままではなく、日本人の繊細で洗練された感性や日本のライフスタイルにマッチするようセレクトし、スタイリングするようにしております。
−「エレガントなヨーロピアン」とは、例えばどのような商品があるのでしょうか
当店は織物を中心に、その他テーブルセッティングに欠かせないキャンドルホルダー、インテリアのアクセントになるフォトフレーム、人形、オブジェなども扱っています。ファッションアイテムとしては、バッグ、それにコーディネートするレースのジレ、ブラウスなど、住空間、ファッション、それに見合った楽しい食卓。まさに生活そのものを楽しんで頂くための商材を揃えています。以前、お客様が「ここに来れば必ず何かが見つかる。まるで宝箱をひっくり返したみたい」と言ってくださったのですが、お店は感度の高いお客様と商品の“出会い”をトータルコーディネートすることが重要だと考えております。
−お店を始めるきっかけは何だったのでしょうか
フランス、ベルギーなどに住んで、洗練された美意識で生活を彩る人々との交流を体験し、日本に未だ入ってきていないエレガントなテイストのライフスタイルをご紹介したいと思ったのがきっかけです。また、海外での生活は「和」の優れた感覚も再発見させてくれました。織物のタペストリーと言えば、ヨーロッパの重厚な住宅に掛けられているものと思われがちですが、小型のものや現代的なデザインまで様々なものがございます。日本の掛け軸の文化に近いものです。そういった「和」の感覚と日本の住宅事情にも合ったヨーロッパの商材を合わせて、アートある日常を身近に楽しんで頂きたいです。
−「和」の優れた感覚というのは、具体的にはどのような感覚でしょうか。
暮らしの中で感じる季節感です。ヨーロッパはその厳しい自然条件から頑強な石造りの家で自然から“守る”ことに徹しているように思えますが、日本の場合は季節と“共存”しております。縁側が良い例ですが、外でもなく内でもなく、自然とつながりつつも、コミュニケーションの場としても機能します。快適さは勿論ですが、暮らしを楽しむ一つの方法とも言えましょう。そういった「和」の優れた感覚も一緒に取り入れていくことで、さらに豊かな生活を創造していけると思うのです。
−お店で扱われている商品は、輸入されているものが多いのですか。
クッション・クロス・雑貨類に関しましては、ほぼヨーロッパ(ベルギー、フランス、オランダ、スペイン、英国など)の現地にて直接買い付けを行っております。ただし、バッグや服飾品は国産にこだわって、日本の優れた職人により作っています。ゴブランバッグも、ヨーロッパから直輸入したファッショナブルな生地を日本でデザイン・加工しておりまして、機能性も安全性も兼ね備えていると人気です。
−ゴブラン織りとはどういうものなのでしょうか?
ゴブラン織りとは、綴れ織のタペストリーのことを指します。フランドル地方と呼ばれたオランダ、ベルギー、北フランス発祥の織物です。織による図柄に立体感が出るのと、多数の色の糸の組み合わせて織ることで奥深い色合いを表現できることが特徴です。クラシックな色柄から明るくポップな雰囲気のものまで、多様な表情を見せております。現在では、クッションやバッグなどに多く使用されております。現在でもフランドル地方にはこうしたゴブラン織りの工房が立ち並んでいるんですよ。
−商品の品揃えを考える上で、大切にされていることはどのようなことですか
毎年、フランス・ベルギーの展示会に足を運び、ヨーロッパのトレンドを弊社流にアレンジしてお伝えしたいと考えております。ゴブラン織りはどうしてもクラシックなイメージがありますが、現在では、クラシックとモダン、クールとキュート、様々なテイストをミックスされているなど、デザインも多種多様です。その上で、フランステイスト、ブリティッシュテイスト、南欧テイストなど嗜好にあったアドバイスをしております。
−嗜好別のアドバイスについて詳しくお聞かせください。
インテリアにもモードがあり、現在ではミックススタイルが主流になってきております。例えば、フランステイストに仕上げるには、クラシックなファブリックを使用しながらも、重さを感じさせないように白を効果的に使用すること、ポイントに鮮やかなピンク、イエローなどを使用することで、シックなだけではない、ポップでキュートなフランスを楽しんで頂けます。また、ブリティッシュテイストは、弊社では重厚な英国製の家具を取り扱っておりますので、それに似合う、男性的・紳士的なイメージを打ち出しております。感性豊かなお客様の具体的なご要望をお伺いできるよう、接客には力を入れております。
−お客さんからの反響はどうですか
今まで「壁掛けのタペストリー」というものをお使いになったことが無い方が、お勧めしたタペストリーを飾ったところ、再来店してくださり「予想以上にお部屋が素敵になった、雰囲気がとても良くなった」とお褒め頂きました。ゴブラン織りに魅力を感じ、リピーターになってくださるお客様が多くいらっしゃいます。また、お店が入っている東京オペラシティにはコンサートホールが入っているため、音楽好きなお客様の中には毎月訪れてくださる方もいらっしゃいます。そのような方にも目でも楽しんで頂けるよう、ディスプレイもこまめに変えております。
−自宅で出来る気軽なアレンジ法があれば教えてください。
あまり気負わず、まずは本物のゴブラン織りのクッションを置いてみてはいかがでしょうか。ラグやカーテンなど、一点だけ変えてみてもかなりお部屋の表情が変わると思います。また、照明も重要な要素です。ヨーロッパの住宅では、明かりを楽しむ間接照明が一般的です。温もりある明かりは、ファブリックなどの表情に奥行きを持たせてくれます。是非、ヨーロピアン・ライフスタイルを取り入れて、アートのある日常を彩ってみてください。
−お客さんには、お店でどのような体験をしてもらいたいですか
ヨーロッパのエレガンスを感じて頂くのは勿論ですが、ご自分に合ったテイストでセレクトして頂けたらと思っております。クッション、タッセル、キャンドルホルダーなど、既にご自宅でご使用になっているものも、ちょっとしたエッセンスを足したり、コーディネート次第でまた新たな魅力を引き出すことができたりします。当店にご来店頂いたことで、「非日常的」なアクセントとしてアートを感じて頂き、生活空間を楽しんで頂くヒントにして頂けましたら幸いです。