かき氷は器に盛られているもの――そんな常識を打ち破るかき氷が、ここ「セバスチャン」にはあります。
それがこちら、「マンゴーショートケーキ」。見た目もメニュー名も普通のケーキのようですが、れっきとしたかき氷です。セルクルで氷をケーキ型につくり、全体を生クリームで覆い、マンゴーの果肉と透明なジュレをトッピングします。
全体に散らしてあるのは、砕いたピスタチオ。氷と生クリームのふんわりととろけるような食感にアクセントを加えます。
中を割ってみれば、氷と生クリームの断面がお目見え。口にふくむと、しゅわっと優しく溶けていきます。この食感は、成型する際に氷を押し固めず、ふんわりと3層に分けて盛ることにより実現するもの。たっぷりとかかったマンゴーのシロップは、酸味の香るあっさりとした味わいです。生クリームと一緒に食べると、まろやかな生クリームと、マンゴーの甘みが広がります。聞けば、こちらの生クリームは、氷に合うように特別な配合を施しているといいます。
かき氷はすべてカウンターで作られており、お客さんもかき氷が作られる過程を眺めることができます。
「セバスチャン」がかき氷を始めたのは2012年のこと。知人に連れられたお店で出している綿菓子のようなかき氷の写真に衝撃を受け、かき氷を始めたいと考えたそうです。ちなみにカウンターに置かれているかき氷器は、そのお店と同じ型番のもの。デッドストックとなっていたために、なんとオークションで手に入れたそうです。
また、数あるかき氷店のなかで個性を出すため、フレンチ出身ということを活かし、フレンチの要素を取り入れたかき氷を打ち出しています。お店のメニューには、レアチーズやミルフィーユなど、洋菓子店でも目にする名前が並びます。
「セバスチャン」では、洋菓子の要素が強いかき氷を提供していくなかで、「かき氷」と一線を画すため、「ドルチェ氷」と名づけたそう。さらに、そこから、「見た目もケーキのようにしてしまおう」という発想が生まれ、セルクルを使い、生クリームでデコレーションするかき氷が生まれたそうです。
場所は渋谷から代々木公園に向かって歩くこと15分。緑のサンシェードとウッド調の外観が目印です。
店内に入ると、バル風の落ち着いた空間が広がります。カウンター席が6席とテーブル席が5つほど。代々木公園で散歩したあとのクールダウンに、いかがでしょうか。