昼夜問わずにさまざまな年代の人で賑わう西武百貨店渋谷店の地下にある「シナグロ ORGANIC KITCHEN&MARKET 西武渋谷店」。オーガニックで身体に優しい料理を、リーズナブルな価格で楽しむことができるオーガニックレストランだ。「多くの人にオーガニックの魅力を知って頂きたい」という料理長・田中和憲さんにお話を伺った。
−お店のコンセプトはなんでしょうか?
「オーガニックをもっと美味しく、もっと楽しく」をモットーに、100%オーガニックを目指して食を提供していきたいと考えています。そのため、毎日食べてもヘルシーでかつ気軽にご利用頂けるようなリーズナブルな価格で、野菜を多用したお料理をご用意しています。
−「リーズナブルに」とのことですが、オーガニック野菜は高いイメージがあります
農薬を散布すれば除草や殺虫が終わる慣行農法に比べると、有機栽培は労力も費用も多くかかります。有機の認証を取得し、維持するための費用もかかるんです。有機栽培のお米として販売するには、約3年もの時間が必要です。1年目は無無栽培、2年目には転換期間中有機栽培、3年目でやっと有機栽培になります。このように、農薬や化学肥料を使用せずに作物を作るということは、簡単なことではありません。だからこそ、オーガニック食材を作っている人は、こだわりを持っていて、安全でおいしいものを作りたいという気持ちを強く持っている人ばかりです。そのような人たちがもっと増えてほしいという願いもこめて、私たちはオーガニックを推進していきたいと考えています。
−“健康に良い”以外でオーガニックの良さとはなんでしょうか
有機栽培は、環境への悪影響もありません。化学性の農薬や肥料は、使用することで生態系を破壊し、土地を枯らしてしまうんです。農家の方が薬品を散布している様子を思い出してください。ものものしいマスクやゴーグルをしていることが多いと思いますが、あれだけ防護しなければいけないということは、身体への悪影響があるという証拠です。つまり、有機栽培は身体が喜ぶ食材を作るということだけでなく、私たちの健康と環境を守ってくれるのです。
−なるほど、オーガニックならではの魅力があるのですね。
また、目に見て伝わらないことですが、身体にとって無害な物を当たり前に摂取できること、本当の旬を感じられることも大きな魅力ですね。オーガニックをライフスタイルのひとつとして楽しんで、身体の中から美しくなって頂きたいと思っています。
−お店で食べられるメニューについて教えてください
当店では、新鮮野菜の食べ放題を行っています。ランチ、ディナーともにベジタブルバーが付きます。全てではありませんが、使っているのは自社農園(オーガニックハウス鳩山農場)の野菜です。
−どのようなお野菜が食べられるのでしょうか?
今の時期ですと、サラダリーフ、落花生、栗、サラダ白菜、セロリ、ズッキーニ、アカミズナなどが並んでいます。これからの寒い時期には蕪、白菜、ゆず、トレビス、紫人参、あやめカブ、紅芯大根などが出てきます。旬の食材を中心にメニューを変えるようにしています。
−お野菜以外のメニューもあるのでしょうか
もちろんです。特製のお肉料理をご用意しています。お肉には自家製塩麹を使用して低温で7時間かけて火を通しています。こうすることで、柔らかさを維持しつつ、旨味のアミノ酸を引き出すことができるんですよ。他の食材にも、一仕事を入れるように心がけています。また、調味料にもオーガニックにこだわり、仕上げています。
−お客様からの反応はいかがですか
たくさんの野菜が食べられる、安心して子供にも食べされることができる、といった喜びの声をたくさん頂きます。リピーターになってくださる方も多く、当店の食事で身体の調子が良くなった、食べ過ぎてももたれることがないと言ってくださる方もいらっしゃいました。
−お店で大切にされていることはなんですか?
当たり前のことですが、安心して食事を楽しんで頂くために、「安全」に一番気を使っています。そして、お客様が当店に求めていることは、野菜がたくさん食べられることだと思っているので、旬を出来るだけ感じて頂けるような食材を揃えるようにしています。
−来店したお客様に、お店でどんな体験をしてもらいたいですか?
オーガニックという言葉を耳にすることが多くなり、ご存知の方が増えました。しかし、実際にどういったものなのか、きちんとご存じない方がほとんどです。身体にいいことは分かっているけど高いから、とおっしゃる方も多いです。素材が持つ本来の味を体験してイメージを変えてほしい。一人でも多くの方に、オーガニックの魅力を知って頂きたいというのが、当店の願いです。皆様の第二のキッチンとして、心を込めて手作りオーガニックをお届けいたします。