地球にも人にもやさしい方法でつくられた「オーガニック」を選ぶ人が増えています。 「オーガニックはお金がかかる特別なこと」と思っている人もいるのでは? “おいしく、楽しい”をキーワードに、誰にでも実践できる、毎日を豊かにするオーガニックライフのはじめ方をお伝えします。
「あなたはあなたが食べたものでできている」と言われるように、毎日の食事によってわたしたちのからだはつくられています。第1回に続き、一般社団法人日本オーガニックライフ協会認定 オーガニック料理ソムリエ認定講座講師のはりまや佳子さん(52歳)にオーガニック料理の方法を教えてもらいました。
キレイ料理レストラン&スクールG&V
東京都中央区銀座3-12-19 銀座楽心ビル1階
マクロビオティック・キレイ料理教室 G-veggie
蒲田校 東京都大田区東蒲田2-5-11
銀座校 東京都中央区銀座3-12-19 銀座楽心ビル1階 キレイ料理レストランG&V内
オーガニック料理で大切なことは、
① 主食はオーガニック玄米に
② 調味料は“本物”を使う
③ オーガニック野菜を選ぶ
上記3つ。外食や加工品からの食品添加物の摂取量を減らし、おいしい野菜でおいしい料理を楽しみましょう
オーガニック野菜のいいところは、栄養満点の野菜の皮まで丸ごと食べられる点。
アメリカでは、「Whole food(ホールフード・一物全体)」と呼ばれる、野菜の皮をむかずに食べる方法があります。生命のあるものはすべてそれ1個で調和が保たれ、食べ物はアクも含めたまるごとを食べればこころとからだのバランスが整うのだそう。たとえば、白米は玄米から栄養豊富な糠を取り除いているため、玄米よりも栄養価は劣ってしまうとか。白米はおいしいけれど、なんだかもったいない気がしてきました。
そして、普段は捨ててしまう野菜の皮には健康効果がたっぷり。大根の皮には辛み成分でがんを抑制するはたらきがある酵素「ミロシナーゼ」が含まれているほか、肌を再生するビタミンCは中心部よりも皮近くの方が多いそう。免疫力を高めるカロテンはにんじんの中心よりも皮に、キャベツの外側の緑の葉に多く含まれています。
さらに、「さまざまな刺激や外敵から守る野菜の皮は、抗酸化作用を持つポリフェノールを多く含んでいます。栄養素の宝庫・野菜の皮を食べることで、人間の皮膚=お肌にとってうれしい効果も期待できるんですよ。捨ててしまってはもったいないないですよね」(はりまやさん)
「Whole food」は、あのマドンナやエリカ・アンギャルも実践しているのだとか! さっそく真似したいところですが、皮は栄養豊富であると同時に、農薬がもっとも蓄積されてしまう場所でもあるそう。皮まで食べても安全なオーガニック野菜で、美肌・アンチエイジングを目指しましょう。
オーガニックには詳しくない方も、地元食材を地元で消費する「地産地消」という言葉を聞いたことがありませんか?
昔から、自分の暮らす土地でその季節に採れた旬のものを食べれば、こころとからだのバランスが自然と整う(身土不二「しんどふじ」)と言われています。
「スーパーマーケットでどんな野菜も1年中手に入る時代ですが、旬の食材は栄養価が高く、値段も安くていいことづくしなんです」と、はりまやさん。
旬の食材はおいしいだけでなく、栄養素も最も高い状態。さらに、日本の四季にあわせて育つ旬の食材は、その季節を快適に過ごすための力を持っています。新鮮な旬の食材はわたしたちがイキイキと活動するために欠かせないもの。
オーガニック料理には季節ごとに食材や調理法のヒントがあるので、献立に頭を悩ませる時間が減るのです。
今回は数々のレシピ本を出版しているはりまやさんに、季節に合ったおすすめ食材、調理法、レシピを教えてもらいました。
温かい土の中で育つ大根やにんじん、ごぼうなどの根菜類には、からだを温めるはたらきがあるので積極的に摂りましょう。切干大根など、天日干しされて栄養価の高まった乾燥野菜も、野菜不足になりがちで栄養バランスを崩しやすい冬に最適。塩気を多くし、シチューなどの煮込み料理、炒め物、圧力鍋やオーブン料理でよく火を通して。冬はアツアツで野菜たっぷりの鍋がピッタリ!
材料
酒粕200g/昆布だし1300㏄/豆乳200㏄/塩大さじ1と1/2
長芋140g/大根250g/にんじん80g/春雨70g
舞茸100g/しめじ100g/油揚げ1と1/2枚
(飾り用)かいわれ大根 半パック/糸唐辛子 少々
作り方 | |
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1 | ボウルに適当な大きさに千切った酒粕を入れ、昆布だし300㏄と豆乳200㏄を加え、浸しておく |
2 | 長芋は軽く洗ってヒゲをコンロの直火で焼ききり、皮ごとすりおろす |
3 | 大根とにんじんは長さ15㎝、幅1㎝位の大きさに切り、ピーラーでリボン状に引いておく |
4 | 舞茸としめじは石づきを取り、手でほぐしておく |
5 | 油揚げは半分に切った後4等分にし、それをさらに三角形に切っておく |
6 | 鍋に1を入れ、弱火で酒粕を溶かして塩を加え、良く混ぜ合わせる |
7 | 土鍋に残りの昆布だしと大根・にんじん・舞茸・しめじ・春雨・油揚げを入れ、沸騰したら溶いておいた酒粕と長いものすりおろしを加え、時々混ぜながら5分程煮込む |
8 | 酒粕の匂いが飛んだら火を止め、かいわれ大根と糸唐辛子を飾り出来上がり |
<ポイント>
お野菜は冷蔵庫あるものを入れてもOKですが、においの強い春菊のような野菜は好みがはっきりでると思いますので、少量から試して入れてみてください。酒粕は冷蔵保存しておけば長期保存ができます。
乾燥が気になる冬に、野菜と水分たくさん摂れる鍋。季節の献立には先人の知恵が生かされているのですね。酒粕は便秘や肌荒れしているときにおすすめです。
「夏野菜、葉もの野菜、豆、果物をよく食べましょう。トマト、きゅうり、なす、じゃがいも、ゴーヤ、レタス、チンゲン菜、空豆、枝豆、スナップえんどうなど。火を使った料理はからだを温めるので、蒸す、茹でる、サッと炒めるなど、短時間でできる軽い調理法がおすすめ。天ぷら、マリネや生サラダ、浅漬けもいいですね。味つけは塩気を少なく薄味で、素材の味を楽しんで」
材料
大豆たんぱく200g/白いんげん豆50g/玉ねぎ1/2個/トマトの水煮1/2缶/しょうが・にんにく少々/ローリエ1枚/りんごジュース 大さじ1/2
動物性原料不使用のカレー粉60g(お好みで調整)/菜種油 適量/塩 一つまみ/昆布 2㎝
作り方 | |
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1 | 白いんげん豆は一晩水に漬けておく |
2 | 浸水させていた水を捨て、昆布を入れた鍋で豆が柔らかくなるまで煮る |
3 | 煮あがったらザルに上げる |
4 | 玉ねぎは薄い回し切りにし、生姜とにんにくはみじん切りにしておく |
5 | 大豆たんぱくは水で戻し、水気を絞りフードプロセッサーにかける |
6 | 鍋に菜種油を敷き、しょうがとにんにくを弱火で炒める |
7 | 香りが出てきたら、玉ねぎと一つまみの塩(甘みを引出すため)を加え、玉ねぎがきつね色になるまで炒める |
8 | 水気を絞った大豆たんぱくを加え、余分な水分を飛ばしたら、トマトの水煮とローリエを加え10分程弱火で煮込み、豆を加える |
9 | カレー粉とリンゴジュースで味を整え5分程煮込んで出来上がり!! |
<ポイント>
一旦冷ましてから、もう一度火を通すとより味がなじみます。大豆たんぱくとは、大豆でつくられたお肉のような食感が楽しめるマクロビオティック食材で、海外のベジタリアンからも大人気。動物性原料不使用のカレールーと、どちらも自然食品店などで購入できます。
お肉がなくても食べごたえ十分のカレー。しょうが、にんにく、昆布など和の食材が隠し味になっています。
材料
旬の野菜/必要なら塩少々
作り方 | |
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1 | 旬の野菜を切り(*)、ボウルに入れて天然塩をふる |
2 | 少し小さいサイズのボウルに水をたっぷり入れ、野菜の入ったボウルに重ねて置いておく |
3 | 野菜から出た水分を切り、必要なら塩を追加して盛り付ける |
(*)切り方は前回の“オーガニック”を学ぶ1日料理講座を体験を参照
講座で料理実習をしたプレスサラダ。食卓にもう一品ほしいときにサッとつくれるので、我が家の定番レシピになりました。
オーガニックライフとは、新鮮で安心な旬の食材を無駄なくいただくこと。特別なことはなにもない、ちょっと昔の日本人が行っていた暮らしなのです。自然の恵みに感謝し、四季の移り変わりを感じる……。オーガニック料理は、現代人が忘れかけているこころのゆとりまでをも、もたらしてくれそうです。