威勢のいいかけ声と風鈴の音色が響く

【浅草】浅草の夏の風物詩・ほおずき市

2015/08/07 19:12

1年を通じて多くの観光客、参拝客でにぎわう浅草寺。毎年7月9日、10日は「ほおずき市」が行われ、ひときわ多くの人々が訪れます。売り子さんたちの笑顔と威勢のいいかけ声、色鮮やかなほおずきの実、爽やかに響く風鈴の音色。浅草に梅雨明け、そして夏の訪れを告げる名物行事です。

126年分のご利益が得られる、四万六千日

ほおずき市は、浅草寺の「四万六千日」の縁日に行われます。四万六千日とは「この日にお参りすると、四万六千日分(126年分に相当)のご利益がある、と言われる日です。

四万六千日の7月9日、10日には、「雷除札」が授与されます。江戸時代には雷除のお守りに赤とうもろこしが縁日で売られていたのですが、不作の年があったことをきっかけに、雷除札が浅草寺で授与されるようになりました。また、災難除守も、「四万六千日」の文字が書かれた特別バージョンになります。

境内にずらりと並ぶほおずきの露店

ほおずきは、昔は薬草として知られていました。飲むと、子供のかんの虫や、大人の癪(胸やお腹の痛み)に効くとされ、縁日で参拝客が買い求めたのがはじまりだそうです。

露店は宝蔵門の手前あたりから、本堂(観音堂)の右手の広場に多く出ています。全部で約120店もの露店が並んでいます。ほおずきの鉢を売る店が多いですが、枝ほおずきや篭盛りのほおずきだけを売る店もあります。鉢とともにほおずきのストラップなどを売る店もあり、よく見ると売っているものが少しずつ違います。

ほおずきの鉢の値段はほぼ一律で風鈴つき1鉢2500円(風鈴なしで2000円)です。大きな実がびっしりとついていて、下のほうが色づいています。ほおずきは下の実から上へと色づいていきます。


そのほか、かご盛りのほおずき、枝にほおずきがついたものも売っています。色鮮やかで大ぶりの枝ほおずきを何本も買う人の姿も。仏壇にそなえるほか、ドライフラワーとして楽しむ人も多いようです。

ほおずき市の余韻を自宅でも

「いい鉢をお選びしますよ」の声にひかれて、1鉢買ってみました。
「どんなのがいい鉢なんですかね。たくさんあってよく分からなくて…」と聞いてみると、
「上までしっかり実がついているものが、長く楽しめておすすめですよ」
さらに、もうひとつ気になっていることも聞いてみました。
「お手入れはどうすればいいのかしら。水やりはどのくらいしたら?」
「日陰に置いて、朝と夕方に水やりをすれば大丈夫ですよ。冷房のきいた部屋に置くと、実の色づきが少し悪くなるかもしれません」

篭盛りのほおずきも1つお土産に買ってみました。こちらも、ドライフラワーのように乾燥させれば、3年ぐらい楽しめるとのこと。


ちなみに、買ったほおずきの10日後のようす。中段のほおずきも少しずつ色づいてきましたよ。

心躍る夏のひとときを楽しむ

仏様からご利益をいただき、売り子さんとのやり取りを楽しみながらほおずきを買い求めて。心が浮き立つようなひとときを過ごせます。そして、買い求めたほおずきは、徐々に赤く色づき、縁日の余韻を感じさせてくれるでしょう。

この記事のプレース
浅草寺
東京都台東区浅草2丁目3番1号
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この記事を書いたライター
山と旅をテーマに取材・執筆活動をするフリーライター。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本社)など。東京都在住。