【大阪】手の技を鍛え、和菓子を通して四季の移ろいを大切に届ける和菓子店

2015/12/02 18:29

古い歴史を持ち、おいしさと美を追求してきた和菓子専門店「菓匠館 福壽堂秀信」。厳選した素材と職人の技で、愛されるオリジナルの和菓子を作り上げてきた。「和菓子を通じて季節感と愛情を届けたい」という同店の田中さんに伺った。

真なるおいしさを込め、四季の移ろいに応じた和菓子作り

−こちらのお店のコンセプトについて教えてください。

当店は、昭和23年に創業し、格式の高い花街であった大阪・南地宗右衛門町の洗練された粋な文化の中で長年営んでまいりました。真なるおいしさ、善なるあきない、美なるかたちを社是とし、四季の移ろいに応じた和菓子をお作りしています。

厳選した素材と職人の技が作り出す、四季折々の和菓子

−四季の移ろいに応じた和菓子というと、春夏秋冬で扱われているものが違うのでしょうか?

弊社では、上生菓子は概ね二週間ごとに変えております。他の季節商品では、お節句などの年中行事に合わせてお作りしています。例えば、正月なら干支を型打ちした薯蕷饅頭、端午の節句には鯉のぼりや兜をかたどった商品、その他、月見団子や彼岸団子などの朝生菓子もございます。また一般商品でも、春には「季乃花 桜」や蒸し菓子の「ふくふくふ 苺」、夏には「季乃つゆ 日向夏」や「ふくふくふ マンゴー」、秋には「季乃實 栗」や「ふくふくふ マロングラッセ」というふうに、時季に合わせて商品が入れ替わります。

紅白の花びらがかわいいお饅頭「花だより」

未年の干支を型打ちした「干支菓未」

申年の干支を型打ちした「干支菓申」。お年始に喜ばれること間違いなし

−俳句に季語があるように、和菓子にも季節で定番があるのでしょうか?

ございます。桜餅や柏餅などは、一般的なのですぐに思い浮かぶことと思います。その他にも、年中行事や、夏には柑橘、秋には栗といった季節の素材に合わせた和菓子が作られます。水羊羹や栗蒸し羊羹なども、季節菓子の定番と言えるでしょうね。

長年の技術で素材を活かす、茶寮ではデザートメニューとしても

−こちらのお店で作られる和菓子の特徴を教えてください。

長年の製餡技術を生かした、餡本来のおいしさが特徴です。丹波大納言や十勝小豆などの材料の選定、炊き加減の日ごとの調整、商品に応じた糖度や食感の適合に注意を払い、本当においしい和菓子作りを追求しています。同じ餡と言いますが、商品ごとに味わいは異なります。漉し餡・粒餡と一口に言っても、商品によって炊き方から違うんです。漉し餡はさらりとした舌触り、粒餡は小豆の粒がしっかりと残りつつも柔らかいように炊き上げます。総じて、生菓子風の柔らかめの餡をお作りしています。また、常に新鮮な餡を商品に用いることも重要です。そして、それらを見極める職人の育成と技術の継承も大切にしています。

−お店オリジナルのお菓子もありますか?

福壽堂秀信のなかでも特に「帝塚山本店」限定商品としては、「帝塚山」や「福ふくべ」があります。帝塚山本店限定販売の名物縁起菓「福ふくべ」は、毎月29日を「ふくの日」として、その前後3日間(28・29・30日)だけ限定販売いたしております。その瓢箪の形をかりた縁起のよいお饅頭(焼菓子)には、五つそれぞれに吉祥五色の帯(煉切製)をかけ、十勝産小豆で作った漉し餡を包んでいます。「帝塚山」はどら焼き風ですが、どら焼きとは似て非なるものです。もち粉配合生地の粘りある食感と、柔らかく炊いた十勝産小豆の粒餡との相性が特徴となっています。

−お客様の反応はいかがですか?

地元のお客様や学校が、「帝塚山」を様々な贈答にお使いくださるようになりました。本当においしい和菓子を口にする喜びを感じさせてくれる、松風わたる帝塚山の名に負う銘菓となりました。

帝塚山本店限定商品「帝塚山」。もちもち生地と、やわらかな粒あんの相性がとてもいい

帝塚山銘菓として地元で愛され、喜ばれている

−店内で和菓子を頂くこともできるのでしょうか?

茶寮「季」を設けております。ゆったりとしたスペースで茶庭を眺めながら、おくつろぎいただけます。茶寮では、吟味した素材をシンプルに活かした和菓子のデザートメニューを取り揃えています。「季ぜんざい」は、丹波大納言の中でも特に大粒のものを丁寧に炊き、あっさりとした甘さ、さらりとした味わいに整え、小豆のおいしさを感じて頂ける仕上がりです。「わらび餅」は本わらび粉を使い、毎朝練り上げて作っています。また、季節ごとのオリジナルパフェも人気です。洗練された和の空間で上質のデザートとお食事をお楽しみください。

茶寮「季」店内の様子

大粒の丹波大納言を丁寧に炊いた「季ぜんざい」

毎朝職人さんが練り上げて作る「本わらび餅」

和菓子を通して、お客様に季節と愛情を届けたい

−お店を運営する上で、大切にしていることは何ですか

お客様に、和菓子を通して、今の季節をより深く感じて頂ければと思います。私たちは、季節を尊び、素材を選ぶ目を養い、手の技を鍛えることを旨とし、本当においしい和菓子を求め精進してまいりました。そんな私たちの和菓子への“愛情”が、接客を通じてお客様にも伝わればよいなと思っております。

定番の「花御堂」

粒あんの中に求肥が入った最中「秀丸」

−最後に、田中さんにとって「和菓子」の魅力とは何でしょうか

生活に根ざし風土に育つ土着性、特に歴史や民俗的背景を持ち、その広がりが深いことだと思っています。

落ち着いた店内の様子、テーブルもあるので、ゆっくりと選ぶことができる

お店の外観。大通りに面し、大きな間口と暖簾が目印

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この記事のプレース
福壽堂秀信
大阪府大阪市住吉区帝塚山東1-4-12
詳しい場所を確認する
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