【京都】昭和初期のレトロなビルの中にある“コンテンポラリーアートギャラリー”

2015/08/21 20:03

地下鉄東西線市役所前駅ZEST8番出口から南へ4分、登録有形文化財の昭和レトロなビルにある「同時代ギャラリー」は、特定の美術ファンだけでなく、老若男女誰もが気軽に楽しむことが出来るコンテンポラリーアートギャラリーだ。複数の展示室をはじめ、ビル内併設の「カフェアンデパンダン」や「ラジオカフェ」なども一体経営されているというファウンダーの大山 一行さんにお話を伺った。

ファウンダーの大山 一行さん

昭和を感じる登録有形文化財ビルに生まれたアートギャラリー

−お店のコンセプトを教えてください
専門的な知識を持ったコアな美術ファンだけでなく、学生さんからお年寄りまで、様々な人達に気軽に楽しんでもらえるコンテンポラリーアートのギャラリーです。ギャラリーショップコラージュ、実験ショップ、スタジオ1928など、複数の展示室があり、若い無名アーティストたちの発掘や企画展示などのインキュベーションプログラムにも力を入れています。

−同時代ギャラリーが始まるまでの背景をお聞かせいただけますか
毎日新聞社京都支局だった当ビルは、昭和初期のレトロ感が魅力的な登録有形文化財です。そのビルを建て替えるか、保存するかで揺れた際、アーティストでもある現在のギャラリーオーナーと建築家らが協力して、文化情報発信拠点としてリニューアル保存することになりました。その後、このビルの顔として1階正面がギャラリーへと生まれ変わりました。

旧毎日新聞社京都支局のビルは登録有形文化財に登録されている

−当時のビルを、建て替えではなくリニューアル保存したいと思われたのはなぜですか
まず第一に歴史的建築物としての価値が素晴らしかったことです。次に1996年当時、当ビルのある三条御幸町界隈は人通りが少なく、閉店する店があったりと意気消沈していたことや、さらに美術業界も沈滞気味で、何かしらのムーブメントを起こせる拠点作りが望まれているような気分が感じられたことなどが主な理由です。

身軽に普通に、多様なコンテンポラリーアートに出会える場所

−「同時代ギャラリー」では、どのようなアートに出会えるのでしょうか
1980年代くらいまでは“時代の潮流”的なメインストリームがあったような気がして、アーティストもそれを探っているようなところがありましたが、現在は”個々多様でいいんじゃない?”という身軽さが普通ではないかと思われます。まさに、そうしたコンテンポラリーアートの多様さに出会える場が同時代ギャラリーではないかと思っています。

−展示作品の選定で、特に気をつけていることなどあれば教えて下さい
大展示室のギャラリーは、原則ファインアート、つまり芸術的表現性に主眼を置いた作品展示となっています。選ぶ時のキーワード、コンセプトは“同時代性”です。アナクロ(時代錯誤的)な作品や表現はお断りしています。ギャラリーショップコラージュは、版画、イラスト、陶芸・ガラス工芸、服飾などのクラフトの小作品が中心で、来場者への訴求力があるかどうかを基準に審査しています。

−ギャラリーに来られた方にどんな体験をしてもらいたいと思われますか
老若男女問わず、様々なお客様にご来場いただいています。美術ファンの方はもちろん、それまで美術に関しての特別な知識はないというお客様にも、多様な美術系コンテンツ(絵画、イラスト、写真、映像、彫刻、陶芸、染織、ガラス、漆工、木工・家具、デザイン、建築)の豊かさに触れてもらったり、アーティスト達との交流などを気軽に楽しんでいただればと思っています。

−「アーティストとの交流」について、具体的にはどのようなイベントをされているのでしょうか
企画展は、オープニングパーティーやクロージングパーティー、また場合によってはトークイベントやワークショップなども開催しています。どなたでも参加可能で、ほとんどが参加無料です。アーティストは、表現者として「オリジナリティ」を大事にするよう学び訓練していますので、社会や環境を独自の視点でとらえている場合が殆どです。そうした独自の視点をアーティストと交流することで共有出来るのではないか、それによって一般の方の日常生活に何らかの新鮮さが生まれるのではないかと期待しています。

老若男女、誰もが気軽に楽しめるギャラリー作りを目指す

−ビルの外観などについて、具体的に教えていただけますか
当ギャラリーは、買物客や観光客、修学旅行生らが集まる京都市中心エリアの中でも人気スポットの三条通り、御幸町通りにあります。京都大学に建築学科を創立するなど、「関西建築界の父」とも称される武田五一氏が、1928年に毎日新聞社京都支局ビルとして設計されたこの建物は、京都市登録有形文化財です。三条通に面したファサードが国際様式を示す直線的要素をもち、新聞社の社章を象った星形のバルコニーが、アールデコ風の装飾性も兼ね備え、道行く人々の注目を集めることも多く、カメラを構える人が絶えません。

−4つの展示室について、内装や雰囲気などそれぞれの様子を教えてください
「ギャラリー」は、直径約80cmの円柱が特徴的な空間で、壁面と天井は白、重厚な木製ドアやナラ材の床タイルは1928年創建当時のままです。付帯する小部屋とパーテーションの使い方で多様なレイアウトの展示が出来ます。「ギャラリーショップコラージュ」は、御幸町通り側は全面窓になった開放的な空間で、明るい外光と照明の組み合わせにより、様々なオブジェの展示に向いています。次に、「スタジオ1928」ですが、こちらは船窓のような円形窓が小さなスタジオらしさを醸し出しており、アーティストたちの創作の息吹が伝わってくるような空間です。そして「実験ショップ」ですが、こちらはビルエントランスの小部屋で、三条通に面した窓からも内部が見えるおしゃれな空間です。

−お店の運営で大切にしていることはどんな点でしょうか
クオリティが高く、新しい作品を積極的に取り入れることはもちろん、作品に適した“見やすい展示”や、初めての方でも気軽に入れる雰囲気作りなども大切にしています。“地階カフェアンデパンダン”や“1階ラジオカフェ”などを一体経営したり、海外アーティストとの交流プログラムなど積極的に行うことで、特定の美術ファンだけでなく、老若男女、誰もが気軽にコンテンポラリーアートを楽しめるようなギャラリーであり続けたいと思っています。

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この記事のプレース
同時代ギャラリー
京都府京都市中京区三条通御幸町東入弁慶石町56 1928ビル 1F
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