【上野】天然染料のみで染め上げるMAITOのモノづくり

2015/12/22 11:32

JR秋葉原―御徒町駅間の高架下にあるモノづくりをテーマとした施設、2k540の一角にある「MAITO 2k540店」。草木染めと天然素材、メイドインジャパンをベースに作られた優しい雰囲気の商品が並ぶ。「草木染めを通じて、自分なりの自然との関わり方をみつけてほしい」という代表・小室真以人さんにお話を伺った。

自然そのものの色合いと変化を楽しむ草木染め

−お店のコンセプトについて教えてください

草木染めと天然素材とメイドインジャパンをコンセプトに、モノづくりをしています。MAITOの製品は、着込んでいくうちに身体に馴染んでくる風合いと色合いがあります。使い手と共に歳を重ねていける様な製品を目指しています。

−お店の雰囲気もコンセプトを反映させているのでしょうか

東京に2店舗あるのですが、どちらもスタッフと一緒に手作りで作り上げたお店です。木や植物が好きなので、自然のぬくもりを感じてもらえるような内装を目指しました。蔵前本店にはアトリエスペースもあるので、実際に染めているところも見て頂けます。

−お店を始められたきっかけを教えてください

家業で草木染め工房を営んでおり、自然と私自身も草木染めを始めました。このお店をオープンする前までは、福岡県秋月の実家で修行しつつ、MAITOという自身のブランドで活動を始めていました。2010年に御徒町から秋葉原間の高架下にあるモノつくり施設「2k540」への出店のお話を頂き、東京でアトリエショップを始めることにしました。

原綿にまで遡り、草木染めならではの色の深みを引き出す

−草木染めとは何を指すのでしょうか?

草木染めとは「植物や鉱物、土、虫など自然界にある天然染料を使って染める技法」の事を指します。草木染めと呼ばれるようになったのは近年のことで、天然染料染めや自然染めとも呼ぶ方もいます。自然そのものの色合いを出せることが特徴です。

自然界にある草木が染料となる

−草木染めの色合いとはどのようなものでしょうか

色の深みでしょうか。化学染料は色素単体の色味であることがほとんどなのですが、草木染めはたくさんの色素が交じり合って発色するので、色に深みがあります。また、使用していくうちに色合いが変化してくるのも楽しみ方の一つです。

深みのある色合い

−どのように染め上げるのですか

天然染料の種類によって染め方は変わります。例外もありますが基本的には水で煮煎じて染料を抽出し、生地を浸して染めていきます。間に色止めや発色、濃淡の表現などのために様々な工程を踏んでいきます。染料としては、植物ならどんなものでも使えます。ほとんどがベージュや黄色系の色ですが…。ただ、すぐ褪めてしまう色もありますので、私達は色も強く、いろいろな染め方ができるものを選んで使用しています。

抽出された染料に生地を浸す

植物そのものの色が出る

はっきりした色も

−MAITOでの草木染めへのこだわりを教えてください

私たちは商品のすべてを草木染めで染めています。そして原綿(げんわた)にまで遡り、草木染めを施しています。従来の染め方では日光に弱いという欠点がありました。色が褪めてしまったら染め直しをさせて頂いているのですが、バックなど日光に晒される商品には限界があり、いつも頭を悩ませていました。化学染料を混ぜてしまえば強くなるのは明白なのですが、それだけはしたくなかったんです。そこで製品、編地、布、糸よりも更に遡り、原綿(げんわた)から染めることで、色褪せにくく、さらに色に深みのあるMAITOオリジナルの草木染め糸をつくることに成功しました。日常使いのしやすい草木染めとして、お客様にご好評頂いております。

原綿から染めているMAITOオリジナルの草木染め糸。色褪せにくく、色に深みがでる

−原綿から染めるとなると、工程も変わるのでしょうか?

どちらも染める過程は同じです。ですが原綿から染めるとなると、今まで使っていた道具が使えないんです。ですので、まず道具をオリジナルで制作することから始まりました。少しずつ原綿を染め貯めていって、ある程度の量になったら紡績をし、その後生地を織り上げていきます。生地になるまでに1年かかってしまうのが大変です(笑)

丁寧に手作業を積む。たとえ時間がかかっても、化学染料は使わない

草木染めを通じて自然との関わり方を見つけてほしい

−お店で人気の商品を教えてください

ホールガーメントという編み機で編み上げた無縫製ニットの商品は着心地もよく、ご好評頂いています。その他、ニットやスカーフ、バック、レギンス、レザー、ボタンなど草木染めで施した様々な商品を制作しています。靴下やレギンスも人気ですよ。


草木染めのボタンも販売している。染まり方に個性が出るのも、草木染めの良さ

−ユニークな商品がありましたら、ご紹介ください

まだ商品になってはいないのですが、レザーを草木染めするという新しいチャレンジをしています。柿渋や藍染めのレザーはありますが、その他の草木染めのレザーは、実は世界中探してもないんです。レザーは、私達が今まで染めてきた繊維とは染色方法が異なるので、試行錯誤を繰り返してきましたが、少しずつ形になってきました。お披露目出来る日も近いと思います。

−お店ではどのようなことを大切にしていますか?

2k540店以外にも、歩いて20分くらいのところに蔵前のアトリエショップがあります。どちらのお店にも共通して言えることなのですが、商品やワークショップを通じて私達やお世話になっている職人さんなどの作り手の思いや、使ってくださるお客様の感動を、双方にお伝えすることを心がけています。

今までの行程が積み重なって製品になる

作り手が綿から最後の縫製まで心を込めている

−最後に、草木染めの魅力とは何だとお考えでしょうか

草木染めの色は、草木の育った季節や土地、または水質など様々な要素によって変化します。色合いの変化だけでなく、染める過程や植物を採りに行くこと、育てることも含めて、すべてが草木染めの魅力だと思っています。草木染めを通じて、自然ならではの色合いを感じ、自分なりの自然との関わり方を見つけてもらえたら嬉しいです。



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この記事のプレース
MAITO 2k540店
東京都台東区上野5-9-20 2k540 M-1
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