<連載>公園散策20年の公園マイスター直伝!東京公園ガイド-Vol.7-

【東京】都心のビルを見上げながら江戸の風流に浸る、浜離宮恩賜庭園

2015/10/14 12:51

高層ビルが立ち並び、ビジネスマンが行き交う汐留。そのすぐ隣、海沿いに位置する浜離宮恩賜庭園は、江戸時代に徳川将軍家の別邸として利用された由緒正しい場所です。通称「浜御殿」。東京湾の海水を引く「潮入の池」と2つの鴨場を持つ代表的な大名庭園で、国の特別名勝及び特別史跡に指定されています。
日本が誇る庭園の見どころをご案内します。

寂れた感じがいい!園内で最も静かな「新銭座鴨場」

都営地下鉄大江戸線「汐留」駅から近い「中の御門口」から園内に入場。反時計回りにまわっていきます。


 
入場料は300円。券売所の前には、きれいに刈られて落ち葉が掃き清められた芝生と、まっすぐのびる道。これを道なりに進むと最大の見どころである「汐入の池」に出ます

右手には芝生の広場。正月には羽根つきやコマ回しなどの昔遊びを紹介するイベントが行われる「野外卓広場」です。名前のとおりテーブルとベンチがあちこちにあり、お弁当を食べるのにぴったり。手作りのお弁当はもちろん、最寄りの新橋や汐留の界隈でお弁当を仕入れるもよし。桜の季節には、都心のビルを見上げながらのお花見ピクニックも、この公園ならではの楽しみのひとつかもしれませんね。さて、この広場を抜けて「新銭座鴨場」を目指します。

松がたくさん生えていて、木陰がたくさんあります。陽射しを避けて一休みするには最適。

ゆるやかな石段で2メートルくらいの勾配を上がり、ひっそりとした林の土手へ。垣根の向こうには池。園内にある2つの鴨場のひとつ「新銭座鴨場」です。鴨場とは鴨猟を行うための場所で、江戸時代に使われていました。飼い慣らしたアヒルをおとりに鴨をおびき寄せ、網で捕まえるお殿様の遊びですが、捕まえた鴨はしっかり食べたらしいです。

ちょっと寂れた雰囲気なのと、園内にあるもう1つの鴨場の方が大きいこともあって、ここにはあまり人が来ません。でも、静けさの中でじっくり往時を偲ぶには絶好のポイント。うっそうと茂る木々が水面に影を落とす池には、目の前にそびえる高層ビルが大きく映ります。

「大覗(おおのぞき)」と呼ばれる、除き穴の付いた見張り小屋もあります。鳥たちが警戒して逃げてしまわないようこの小屋の中から池を見張り、獲物がどの辺りに何羽ほどいるか確認していたのですね。後ろの高層ビルとの対比もおもしろいですよ。

クールジャパン!橋、松、茶屋が織りなす「汐入の池」の景観

林を抜け出ると、「汐入の池」の脇に出ます。池に架かる橋や茶屋といった趣ある庭と高層ビル群とのギャップが楽しめる、園内最大の人気スポットです。江戸の頃は広く房総まで見渡せたといいますが、ビルを臨む現代ならではの景観もまた粋なものです。

左に目を向ければ、こちらもまた風情ある橋。今にも着物にちょんまげ姿の殿様が現れそう。水際に生える松など、日本庭園らしい美しさが随所にうかがえます。嬉しそうに写真を撮る外国人観光客の姿が印象に残りました。

池を横断する長い「お伝い橋」のたもとまでやって来ました。池の中ほどにある「中島の御茶屋」では、和菓子付きのお抹茶をいただくことができます。昔は夕涼みやお月見に使われる、お公家様たちの特等席だったそうです。素晴らしい景色を眺めながら休憩ができるので、平日でも行列ができるほどですが、並ぶだけの価値があります。

茶屋の先には藤棚のある「小の字島」があり、ちょっと足を止めて橋からの眺めを楽しむのにぴったりです。

橋から見た「燕の御茶屋」。十一代将軍家斉の時代に建てられた御茶屋でしたが、第二次世界大戦の空襲で焼失し、平成27年に現存する当時の資料を元に復元されました。普段は一般公開されていないので、中に入ることはできませんが、庭園と調和した佇まいにしばし見とれます。
それにしても、どこもかしこも絵になる庭園です。

要所に観賞ポイントとなる見晴台や築山が設けられていて、庭園を見渡すことができます。御亭山からは、汐留方面に東京タワー、台場方面にフジテレビ社屋などが見えます。

都内最大級!六代将軍の時代に植えられた「三百年の松」

横堀の脇を散策。多くの水鳥が憩う、美しい松の木が立ち並ぶ美しい小道です。反対側には「庚申堂鴨場」があり、覗き穴から池を見ている人の姿が見られます。

横堀の端、水門近くにある「新桶の口山」まで来ました。この向こうは東京湾です。

レインボーブリッジ!「新桶の口山」からは臨海副都心が一望できます。

園内には水上バスの発着所も。ここからお台場や浅草へ行き来ができるので、半日東京観光のコースに入れたり、ビジネスの合間に立ち寄ったりできます。都会の人ごみに疲れたら、庭園を眺めながら和菓子とお抹茶をいただいて一服。最高の息抜きになりそうですよね。

梅林を抜けると、季節の花が植えられている「お花畑」が出現。訪れた日にはコスモスが揺れていました。春には菜の花で埋め尽くされます。すぐ横には牡丹園があり、四季折々の花が楽しめます。

内堀を渡り、「花木園」の中にある売店へ。お団子やおまんじゅうの他、手ぬぐいや提灯といった和小物のお土産が置いてあります。

休憩所以外の場所に自販機はありません。飲み物などを用意せずに入ってしまった人は、まずここに立ち寄ることをおすすめします。

散策の締めくくりは、大手門口前にある古木。都内最大級の大きさといわれる黒松です。横に突き出るように低く張り出した姿が特徴的です。およそ300年前、六代将軍の家宣が庭園を大改修した際に植えられたと伝えられます。多くの人が、いろいろな角度から見惚れていました。

現代と江戸の景観を一度に味わう、大人の公園遊び

開園時間は9時~17時(入園は16時30分まで)。ガイドを希望する人は、入園時に券売所で申し込むと、見どころで動画や音声などの解説情報が流れる、優れものの専用端末を無料で借りることができます。(身分証明書の提示と住所、氏名、電話番号の記入が必要です)
遊具やレストランはありませんが、汐留に建つ巨大ビル郡や東京タワーを借景に、和の情緒あふれる庭園美が満喫できる貴重な場所。その対比の面白さには、誰もが心を奪われるはずです。江戸の歴史や建築が好きな人はいっそう楽しい時間を過ごせるでしょう。

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この記事のプレース
浜離宮恩賜庭園
東京都中央区浜離宮庭園
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この記事を書いたライター
フリーライター。1976年生まれ。広告制作会社、新聞社等の勤務を経て独立。飲食店取材や街頭インタビューで都内を駆けまわる一方、休日は愛用の一眼レフを手に山や植物公園に出没。公園巡りを始めて20年余。季節ごとの魅力や楽しみ方を知り尽くした「公園マスター」。東京都内の公園はすべて網羅し、公園ごとのオリジナル料理や飲み物、巨木は必ずチェックしている。旅と自然を愛し、ヨーロッパ諸国の他、アラスカやボルネオへの渡航経験がある。主な執筆ジャンルは食、自然、健康など。
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