緑豊な街路樹に彩られ、赤いレンガ造りの歩道にガス灯が灯る馬車道通りには、明治・大正ロマンを想わせる、レトロな雰囲気が漂っています。
「馬車道」の由来は、さかのぼること幕末の1859年のこと。
横浜開港とともに、国内外から多くの人が移り住み、横浜は寒村から街へと発展して行きました。道路が整備され外国の馬車が行きかうようになり、その様子から馬車道という名前がつけられたようです。近代街路樹・アイスクリーム・ガス灯など、外国人によって伝えられた“日本で初めてのもの”が幾つも残されています。
JR関内駅の北口を海側方面へ進むと、馬車道通りに行けます。
馬車道通りは、近代街路樹発祥の地で、1876(慶応3)年に店の人たちが通り沿いに柳や松などを植えたことがその始まりのようです。たっぷりとした緑の街路樹は、街のオアシスそのものです。
近代街路樹の記念碑の前を通って、差点を渡って行くと、馬車道通りの始まりです。
馬車道通りの赤レンガの歩道は、普段よりも少しゆっくりと歩きたくなります。
街路樹には植栽の小さな鉢植えが取り付けられ、そこにはサクラソウやパンジーなど季節の草花が生き生きと咲き誇っています。
商店街の人に聞いてみたところ、この植栽は“イングリッシュガーデン風”のイメージであるとのこと。
遊び心を感じる可愛い植栽ですね。
花を楽しみながら馬車道通りを進んで行くと、「太陽の母子像」という彫像があります。
「アイスクリーム」が日本で初めて売られたのは、1869(明治2)年の夏、馬車道でのこと。現在では、5月9日がアイスクリームの日となっています。その日、街に来た人たちに無料で「馬車道あいすくりん」というアイスクリームが配られるようです。
毎年行われるそうなので、アイスクリームの日に馬車道へ来てみたいものですね。
続いては、馬車道通りと交差している常盤町通りに向かいます。
「幸せを呼ぶ馬車道馬蹄パイ」「馬車道赤レンガサブレ」など馬車道らしいお菓子が!
馬の馬蹄はU字型になっているので、幸せを受け止めて満たしてくれる縁起物であるそう。“馬車道で楽しい時を過ごした幸せのおすそ分け”としてお土産に喜ばれそうですね。
その他にも、お店の中は、美味しそうなお菓子でいっぱいです!
そして同じ常盤町通りには、浜っ子が愛してやまない横浜の老舗のかつれつ店、「勝烈庵」もあります。
ゆったりと落ち着ける雰囲気です。
「勝烈庵」は創業87年以来、変わらない秘伝のソースが長く愛されています。かつれつのパリパリ、サックリとした香ばしさは、パン粉にもこだわっているからだとか。
人気の「勝烈定食」は、このボリュームで1500円(税抜き)
そして、「勝烈庵」の角に「六道の辻通り」という碑が立っています。
続いて、「六道の辻通り」の碑から見えるところに、赤いレンガ造りのお洒落なビルがあります。
建物は、明治時代の西洋館を再現して造られています。
昔は品物の運搬は牛や馬が荷車を引いて行っていたので、街の各所に牛馬の水飲み場がありました。電話ボックスは、明治・大正時代のものを再現して造ったそうです。
店内も、明治時代のモダンな雰囲気で造られています。
1階はオリジナルのコーヒーやパンケーキや洋菓子などが頂ける喫茶室、2階は横浜の古き良き時代を味わえる心地よいバーとなっています。そして、3階は、本格的なフランス料理が楽しめるレストランです。
アップルパイやパンケーキは人気のメニューです!
「馬車道十番館」を後にして馬車道通りへ戻ると、通りの真ん中くらいにある劇場の関内ホールの前に、日本初期のガス灯が展示されています。
何と!ここで馬車道アイスを売っていました。
馬車道アイスは、カップタイプ(税込220円)ともなかタイプ(税込100円)があり、日本で初めてのアイスクリームに近い味になっています。
そして、お店の前には昔ながらの遊具も残っていました。
さて馬車道通りはそろそろ終わり。
ですがこの先の一角には、歴史的な建築物が多く並んでいますので、おまけで紹介します。
旧川崎銀行横浜支店ビル
旧横浜正金銀行本店ビル
旧東京海上火災保険ビル
旧富士銀行横浜支店ビル
馬車道は、歩道も整備されていて歩きやすく、史跡のモニュメントやモダンな近代建築なども多くあるので、レトロ散策するのにとても楽しい場所です。日中は、街路樹の豊な緑が清々しく爽やかで、夕暮れになると優しいガス灯の灯りがともり異国情緒あるロマンの雰囲気が漂います。オフィス街に近いこともあり、平日は近くにお勤めの人たちでにぎわっていますが、休日は、比較的のんびりと散策することができますよ。