【京都】完全手彫りの印章からユニークなスタンプまで「伝統と斬新」を刻み出す老舗の印房

2015/08/11 00:00

印鑑、落款印などの印章を、創業以来100年以上も受け継がれてきた“完全手彫り”の伝統技術で作り続ける一方で、ユニークなスタンプを2000種類以上も制作するなど、新しいことにも積極的に挑戦し続ける老舗の「田丸印房 寺町店」。「沢山ある商品の中から宝探しをするような楽しい感覚でお気に入りを探して欲しい」と語る同店の五代目、田丸琢さんにお話を伺った。 

伝統的な印章文化を今に伝えながら、新たな商品を生み出す老舗

−お店のコンセプトを教えてください
「古き文化を今に伝え、新たな文化を刻み出す」をコンセプトに、老舗のお店として、伝統的な印章文化を後世に伝えるとともに、今の世に適した商品を生み出していく事を大切にしております。実用的な印鑑、書画に用いる石のはんこである“落款印”などのほか、オリジナルスタンプ(京うふふスタン)のデザインから製造、販売までも行っております。住所印やネーム印など、世界で一つだけのオーダーメイド印も人気があり、他店では見かけないような商品を専門店ならではの品数で取り揃え、印文化の裾野の拡大を目指してます。

−お店を始めた背景があれば教えてください
明治の頃より国民が姓名を用いるようになり、印章文化が発展してきました。その歩みと歩を揃えるように、当店も印章の商いを行うようになったと聞いております。初代の頃は印章以外にも商品を扱っていたようですが、2代目の頃からは印章に絞って商売していたそうです。

−お店の周辺や店内は、どんな雰囲気なのでしょうか
織田信長で有名な“本能寺”の並び、寺町通り沿いに位置しており、京都の中心街にあります。その中でも三条通りよりも北側の寺町通りは様々な専門店が多く、他の街の繁華街とは少し異なった趣ある通りで、京都を再訪された方にも楽しんで歩いていただけるかと思います。近くには有名な珈琲店などもあります。店内は5年ほど前に全面改装し、現在は木の温もりのある雰囲気になりました。また、スタンプや印鑑以外にも「根付」や「書道具」を陳列しております。書道作品などを作成される方には、落款印まで含め概ね道具を揃えることが出来ると思います。

スタンプや印鑑以外にも「根付」や「書道具」を陳列が揃う

オリジナルの図柄が2000種類以上も揃う「京うふふスタンプ」

−「オリジナルで作成しているスタンプ(京うふふスタンプ)」にはどのような特徴があるのですか
「京うふふスタンプ」とは、その名の通り、「うふふ」と微笑みを浮かべてしまうような趣味のスタンプです。大きな特徴としては、1つのスタンプを押すだけでなく、複数のスタンプを組合せる事で様々な風景や情景を作れるということです。これを実現する背景として、品数(図柄の種類)が重要になってきますが、現在は2000種類以上にまで増えました。最新作ではハシビロコウ、シマエナガ、グソクムシなどマニアックなスタンプも追加されました。新しいスタンプを追加することで、昔から持っていたスタンプにも新たな使い道が発見出来るという点も「京うふふスタンプ」の楽しみ方の一つではないかと思います。

他にはないマニアックなスタンプも揃う。

−2000種類以上もある中で、特に人気があるのはどんなスタンプですか
「ひとことシリーズ」や「評価印シリーズ」が人気です。「ひとことシリーズ」では、ペリー提督の「ペリーグッド」、織田信長の「でかした」、聖徳太子の「たいしたものです」、源頼朝の「よいとも」、太宰治の「失格」などが人気です。また「評価印シリーズ」では、「みました」、「よくできタワー」、「よくがんバッタ」、「まんてんとうむし」、「もうすこしがんバレリーナ」などの人気が高いです。

「ひとことシリーズ」はそのユニークさと細やかな技に目を見張る

−数ある商品の中で、特にユニークなものなどがあれば教えてください
当店店主手書き文字の「一字印」というものがございます。これは簡易の落款印としてお使いいただけるように作成したものです。どこがユニークかといいますと、スタンプ屋さんが作るスタンプではなく、印章彫刻師がデザインした文字であるという点です。違いは比較して見ていただくのが一番伝わるのではないかと思います。ひらがなだけでなく、漢字が一定数既製品として陳列されているのも珍しいかもしれません。

印章彫刻師がデザインした「一字印」

−来店したお客様に、お店でどんな体験をしてもらいたいと考えていますか
一言で言うなら「楽しんでいただきたい」と思います。実際に、当店のスタンプを初めて見たお客様は、笑顔で楽しそうに商品をご覧になっています。当店には、ダジャレのスタンプ以外に、リアルな動植物や人物など様々な種類があり、これらのスタンプを複数組み合わせて、一つの風景や情景を生み出すという楽しみ方もございます。2回目以降にご来店いただくお客様は「どのスタンプを組み合わせようか」と頭の中で黙々と想像されている方が多いようです。

人気商品のひとつ「ダジャレのスタンプ」

売上ばかりを気にせずに、面白そうなことをどんどんやってみる

−「世界で一つだけのオーダーメイド印」とは、例えばどんなものを作成されるのですか
「印鑑」というものが、そもそも「世界に一つだけのオーダーメイド」になるのですが、それ以外にも住所印、名前紋、蔵書印、イラストスタンプなど色々なオリジナル商品を作ることが出来ます。珍しいものですと、例えば「オリジナル名前紋」です。簡単に言うと「家紋」の個人版で、当店でデザインした紋枠にお名前を組み合わせて、自分だけの紋(マーク)を作成するというものです。現在では、紙以外にも布やプラスチックにも押せるインクがありますので、自分の持ち物にさりげなく紋を押したりと楽しんでいただけるかと思います。

−お客様に喜ばれるために、特に工夫されていることはありますか
最近ですと、ショップカードに1枚1枚スタンプを押し、異なる図柄の手作りショップカードを作りました。今までは一番上から順に取られるだけでしたが、図柄が違う事が分かると、下の方までご覧になって持って行かれるようになりました。伝統的な彫刻技術については、日々黙々と精進し続ける事が肝要で、終わりのない世界でもございます。そんな中で、時折お客様から「以前彫って貰った印がとても気に入ったので、もう一度作って貰うためにお店に来ました」などと言っていただける時がございます。こうした時には嬉しいという気持ちとともに、「以前よりも少しでも良いものを彫りたい」と、次のステップへの新たなモチベーションを頂戴した気持ちになります。

−お店の運営で大切にしていることはどんな点でしょうか?
新しい事への挑戦を続ける事。「売れる、売れない」といった数字ばかりを追うのではなく、自分がやってみて面白そうだと思う事をとりあえずやってみるということです。現在のダジャレスタンプも当初はそれほど人気がありませんでしたが、長期に渡り継続して数を増やしていく中で、いつからか口コミで評判が広がり人気が出てきました。こうした試みを今後も継続してやっていく事が、次の世代にタスキを渡す上で、大切なのではないかと考えます。

伝統的な彫刻技術の練磨、そして新しい事への挑戦を。

−最後に、これから初めてお店を利用してみたいと思っている方に伝えたいことはありますか
実用的なものからユニークなものまで、スタンプの種類は2000種類以上ありますので、きっとお好みのスタンプが見つかると思います。宝探し気分で見ているだけでも楽しんでいただけるかと思いますので、お近くまでお越しの際には、ぜひお気軽に足をお運びください。

お店の内観

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この記事のプレース
田丸印房 寺町店
京都府京都市中京区天性寺前町522-6
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